認知症と診断されたら活用できる社会保障制度があります。ここでは「自立支援医療制度(精神通院)」「精神障害者保健福祉手帳」「特別障害者手当」「高額医療・高額介護合算療養費制度」と千葉県内の自治体が独自に制定している制度についてお知らせします。
これらの制度を活用することで、医療費や薬代が軽減されたり、就労支援や各種税制の優遇が受けられたり、公共交通機関や携帯電話料金の割引など様々なサービスが受けられるようになります。
1.自立支援医療制度(精神通院)
【目的】
精神科の医療機関に入院しないで治療(外来、投薬、デイケア、訪問診療、訪問看護等)を受けると自己負担額が軽減される制度です。長期通院が必要となる精神疾患の治療は経済的な負担も大きくなります。この負担を軽減する目的で制度化されたのが自立支援医療です。
【概要】
自立支援医療の適用を受けると医療費等の本人負担は基本的に1割で済みます。さらに収入による自己負担額の上限も設けられています。
ただし事前に登録した「指定自立支援医療機関」でしか利用できません。薬局や訪問看護事業者も同様で、全て指定登録された機関でのみ利用可能です。
【詳細】
千葉県の自立支援医療制度(千葉県のページを開きます)
千葉県の指定自立支援医療機関(千葉県のページを開きます。「病院及び診療所」、「薬局」、「指定訪問看護事業者等」のそれぞれのエクセルを開いてください。)
千葉市の自立支援医療医療機関(千葉市のページを開きます。指定自立支援医療機関表内のそれぞれのエクセルを開いてください)
2.精神障害者保健福祉手帳
【目的】
さまざまな原因で精神障害となった方が、一定の障害にあることを証明するための手帳です。この手帳を持つことによって、自立した生活と社会参加への一助となることを目的としています。1級から3級の三段階に分かれていています。
【概要】
所得税、住民税、相続税、贈与税などが控除・減免されます。また、ハローワークや障害者総合支援サービスなどの就労支援が受けられます。
その他、公共交通機関(JR除く)やNHK受信料の割引、減免。携帯電話料金や文化施設、映画館の割引、減免等様々なサービスが受けられます。
【詳細】
千葉県の精神障害者保健福祉手帳(千葉県のページを開きます)
千葉市の精神障害者福祉手帳(千葉市のページを開きます)
精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービス(千葉県のページを開きます)(全国版を開きます)
◎なお手帳が交付されなかった方でも各自治体で「障害者控除対象者認定」を受けると、税制面での優遇措置が受けられます。お住いの自治体にお問い合わせください。
3.特別障害者手当
【目的】
精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする20歳以上の在宅障害者に支給される手当金です。
【概要】
認知症患者で精神障害者保健福祉手帳の等級が1級で、「特別障害者手当障害程度基準チェックリスト」の自己採点が14点以上になると、受給基準に達していると考えられます。ただし、施設に入所していたり病院、診療所に継続して3ヵ月を超えて入院している場合は支給されません。
月額27,980円(令和5年4月より) 年4回支給(支給月:2月、5月、8月、11月)
ただし受給者もしくはその配偶者又は扶養義務者の所得が一定額以上ある場合は、所得制限により支給されません。

【詳細】
千葉県の特別障害者手当( 千葉県のページを開きます )
制度の詳細につきましては、お住いの役所にお問い合わせください。
4.高額医療・高額介護合算療養費制度
この制度は、1年間の公的医療保険と介護保険のサービス費の合計があまりに高額になってしまった場合、負担額を軽減するための制度です。
もともと公的医療保険には高額療養費制度、介護保険には高額介護サービス費制度という、1カ月単位で自己負担額が軽減される制度があります。しかし、この軽減制度を利用してもなお、世帯単位で1年間の医療費と介護費の合計が、この制度の定める「自己負担限度額」を超えた場合、超えた分の金額が還付される制度です。
(1)対象者
・ 医療保険、介護保険サービスの両方を利用していること
・ 同じ公的医療保険制度(国民健康保険、後期高齢者医療制度、会社の健康保険など)に加入している世帯であること
(2)対象となる可能性のある人
複雑な要件があるこの制度の対象者ですが、次のようなケースでは利用できる可能性があります。
(例1)父親は要介護4で在宅介護生活をしている。同居の母親は持病があり定期的に医
療費の支出がある場合
(例2)妻は認知症で特養に入所、夫は脳梗塞で病院に入院中の場合、など
(3)自己負担上限額
上限額は年齢と世帯の所得により70歳未満は5段階、70歳以上は6段階に分かれています。ここでは「一般」の所得額を中心に「低所得者」と「現役並み所得者」(現役並みの中で一番低い所得額)を表にして示しました。

(4)算定期間と計算方法
期間は8月1日~翌年7月31日までの1年間。同じ公的医療保険に加入している世帯の医療費と介護保険費の負担額の合算が限度額を超えていることが条件です。ただし、高額療養費や高額介護サービス費の対象とならない費用はこの制度でも対象となりません。
(5)申請方法
加入している公的医療保険の窓口が申請場所です。国保や後期高齢者医療制度は市区町村、協会けんぽや健康保険組合は原則勤務先を通じて申請します。自治体の中には3月末から4月に後期高齢者と国保の対象者に通知文を送っていて、対象者の9割が申請をしています。自治体により対応が違っていますので、是非一度加入している公的医療保険がどこであるのかを確認し問い合わせをしてみてください。